発達凸凹だと思っていた息子は「ギフテッド2E」だった。言語理解と処理速度の「差が50」という世界

こども

これまでこのブログでは、息子の「発達凸凹」との向き合い方や子育ての工夫について綴ってきました。

しかし先日、6年生になった息子のWISC(知能検査)を改めて受けたところ、彼が単なる凸凹ではなく、極めて珍しい「ギフテッド2E(Twice-Exceptional:二重に特異な)」と呼ばれる特性を持っていることが明確になりました。

結果は、言葉を使って論理的に考える「言語理解」の指標だけが突出して高く、その他の指標、特に単純作業をこなす「処理速度」が極端に低いというものでした。

その差は、なんと「50」。以前より広がったよ。

この巨大なギャップを見たとき、これまでの彼との歩みがすべて一本の線で繋がりました。なぜあんなに不思議な子どもだったのか。なぜあそこまで学校で追い詰められたのか。今回は、その答え合わせの記録です。

保育園時代:教えていないのに図鑑の「索引」を引く3歳児

思えば、彼の特性は保育園時代からすでに全開でした。

3歳で恐竜に異常なほどのめり込み、分厚い図鑑の内容をすべて暗記。「なぜまだ習っていない漢字が読めるのだろう?」と不思議で仕方なかったのですが、彼は漢字を文字としてではなく、図形や意味として丸ごと暗記していたのです。

一番驚いたのは、誰が教えたわけでもないのに「索引引き」をマスターしていたこと。 落書き帳をビリビリに破った紙切れを、図鑑のあちこちに「しおり」のように挟み込み、「一発で読みたいページに飛べるんだよ」と得意げに見せてくれました。

今思えば、これが「言語理解」という、極めて高度な概念理解力と推論力の萌芽でした。頭の中の思考エンジンは、当時からフル回転していたのです。

「差が50」の日常:論理的すぎる考察と、超ポジティブなナナメウエ発言

この突出した言語理解の力は、日常会話の端々で「ナナメウエ発言」として爆発します。

例えば低学年の頃、給食を食べるのが遅いことに彼なりに悩んだ結果、先生のところへ行き「僕の胃袋は、みんなより小さいですか?」と真顔で確認しに行ったのです。 「食べるのが遅い=気合いが足りない」ではなく、「物理的な容量(胃袋の大きさ)の問題ではないか」と仮説を立てて検証しようとする、なんとも彼らしい論理的アプローチでした。

また、イライラやチックの症状を緩和するために『インチュニブ』という薬を飲んでいた時期のこと。 ある日「もう飲みたくない」と言うので理由を聞くと、なんと、 「僕はこの頃『限りなく普通に近づきつつある』から、飲まなくて大丈夫!」 と高らかに宣言したのです。思わず爆笑してしまいました。

自分が通級に通っていたり、薬を飲んでいることで「みんなと違うところがある」という客観的な自己認識(メタ認知)をしっかり持ちつつ、それを悲観するのではなく「限りなく普通に近づいている」と表現する。この底抜けに前向きな明るさこそが、彼の最大の魅力です。

小3の壁:「普通」を強要され、壊れてしまった心と体

しかし、その面白く高い知性が、学校というシステムの中で彼を苦しめることになります。

小学3年生の時、厳しい担任の先生にあたりました。そこで求められたのは「漢字を素早く、正確に書くこと」。 言語理解が突出して高い彼にとって、漢字の意味はとっくに頭に入っています。しかし、彼のもう一つの側面である極端に低い「処理速度」にとって、手を使って素早く正確に文字を書き写すという単純作業は、脳に異常な負荷をかける過酷なタスクでした。

「分かっているのに、なぜ周りと同じように早く書けないのか」 「やればできるはずなのに、怠けている」

この構造的なミスマッチにより、彼は次第におかしくなっていきました。 チック症状が悪化し、自分の頭を叩くようになり、ついには学校に行けなくなってしまいました。

WISC検査と「合理的配慮」での復活

彼を救ったのは、WISC検査でした。

検査によって初めて「頭で理解する力」と「処理・出力する力」の間に、40(小3の時)もの巨大な凸凹があることが客観的に証明されたのです。怠けているのではなく、脳のハードウェアの仕様上、どうしても物理的に追いつかない部分がある。

私たちは学校にこの結果を提示し、「合理的配慮」を依頼しました。 (漢字のテスト時間延長依頼したり)すべてを周りと同じペースでやらせることを諦め、短時間登校から少しずつ、彼の負荷にならないペースで学校生活を再構築していきました。これが、彼が復活する大きなターニングポイントになりました。

自分で見つけた「処世術」と、底抜けの明るさの先へ

現在、6年生になった彼はとてもうまくやっています。

自分が「処理に時間がかかる(苦手である)」ということを自覚しているため、課題にはかなり早くから取り掛かるようになりました。自分一人で抱え込まず、自ら自宅に持ち帰って「一緒にやって」と私を頼ることもできます。 学校生活を自分なりに工夫し、見事に「処世術」を身につけたと感じています。

得意な思考力がさらに突き抜けて伸びたことは、親として本当に喜ばしいことです。

しかし同時に、不得意な部分との差がさらに大きく開き、「差が50」というアンバランスさを抱えてこの先、一体どうなっていくのだろう?という戸惑いがあるのも事実です。 中学校に上がれば、板書やテストなど「処理速度の低さ」がさらに露呈する場面が増えるでしょう。心配が尽きることはありません。

それでも、彼自身が「限りなく普通に近づきつつある」と笑い飛ばせるほどの底抜けのポジティブさを持っているなら、きっと大丈夫。彼が自分で見つけた「早めに動く」「人に頼る」という戦略を尊重し、これからも「ギフテッド2E」という特殊で面白いハードウェアを持つ息子の伴走者として、あのナナメウエ発言を特等席で楽しみながら工夫を重ねていこうと思います。

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